風そよぐ、晴れた海

日本海へ 第1章 見送り。

e0066210_14542524.jpg


4月30日。晴。
8時ちょうどに彼女が出発。
僕も朝霞水門まで見送るため、一緒に出発する。


e0066210_1455021.jpg


幸いにも、荒川サイクルロードは弱追い風。
荒川は、常に風が吹きながれる。
最低でも3~5m。7m、10m、それ以上もザラに吹く。
冬は上流から下流へ。夏は下流から上流へ。
5月はじめのこの時期は、次第に下流から上流へと移り変わる時期で、日によって追い風になり、日によっては向かい風になる。


  追い風なら荒サイで行きな。向かい風なら、秋ヶ瀬橋から17号へ出た方がいい。
  あい。


前日そう言い交わしていたが、これなら荒サイで行けそうだ。
もちろん17号の方が距離は短く速度も上がる。
しかし、如何せんトラックが多い。
享楽的で気分で漕ぐ彼女は、交通量の多い道では極度に消耗する。


e0066210_14552747.jpg


9時50分、朝霞水門で見送り、何も起きない事を祈りながら、僕は引き返す。
走りながら、あと半日後、夜の闇の中を日本海に向け出発している自分をイメージする。


  遠くに見える山並み。
  木々に囲まれた峠の光景。
  うっすらと記憶に残る、浅間山の山容。


  母の育った信州上田の街並みや、間近に迫る太郎山、そして虚空蔵山の山陰。
  山の合間を流れゆく、千曲川の水音。
  最後の下りでは、潮の香りが段々と強くなり、ゴールへの道しるべとなるだろう。


  碓氷峠から県境向こうの軽井沢を眺めた時、自分はどんな顔をしているだろう。
  野尻坂峠から越後の国に入るその瞬間、どんな気持ちになるんだろう。
  日本海に着いた時・・・。


まだ見ぬ道程をイメージする度、ワクワクしてくる。
ドキドキが止まらなくなる。
大人になってから、自転車に乗りはじめる前まで、ここまでのワクワク感を抱いたことがあっただろうか。


11時頃部屋に戻り、一息ついて風呂に入る。
2時頃、仮眠のため一度布団に潜る。。。


直後、携帯が鳴る。
彼女からの着信だ。

いや~~な予感。。。


  「パンクしちゃった。。。」


ああ、やっぱり。。。
聞くと、荒サイの北鴻巣のあたりで小石を踏み、リム打ちパンクしたらしい。
そこまでは、いつもの通りポタペースで榎本牧場に寄ったり、その先にあるうどん屋で昼食を摂ったりと快調に楽しんでいたのだそうだ。
パンク地点から予約している熊谷のホテルまで、約10km。
まさか10km押し歩きするわけにもいかない。
そこで、1km強先のJR北鴻巣駅まで歩き、熊谷まで輪行するよう伝えた。


正直に言えば、例え10kmでも輪行を挟むのは本位ではない。
だが、ここで無駄に体力を消耗するのは得策ではないのも確かだ。
そこは彼女も、電話の向こうで納得している。
なに、10km走るのと1kmビンディングのシューズで歩くのでは、体力的には歩く方がきつい。
この旅の彩を霞ませるほどの大事件でもない。


ふと、思い浮かんだ。
僕は、母が上田育ちということから、真田氏への思い入れが深い。
その真田氏分家、沼田城主(のち上田城主→松代城主)・真田信之の正妻「小松姫」が亡くなった地が、その武州鴻巣だった。
大阪の陣の後、長らく江戸に詰めていた小松姫。
だが晩年病にかかり、草津に湯治へ向かう途中、鴻巣で亡くなった。
小松姫は夫からの信頼は厚く良妻賢母の誉れも高かった。
その知らせを聞いた信之は、「我が家から光が消えた」と大いに落胆したと言われている。


そんなところでパンクとは。
なかなか心得た相方である。


パンクの知らせの後、気持ちが高揚しすぎていたこともあり、どうにも眠れない。
結局2時間弱の睡眠で、23時、僕も出発する事になる。


-----------------------------------------------------
『日本海へ』の全記事
  ⇒ カテゴリ 日本海へ
-----------------------------------------------------


にほんブログ村 自転車ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 自転車ブログ 自転車旅行へ
にほんブログ村
[PR]
by kaze_soyogu | 2011-07-06 14:58 | 日本海へ


自転車をカッコよくカスタマイズ。そしてときどきポタリング。ある日突然シクロツーリストになったりも。


by FucaNeus

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

検索

カテゴリ

最新の記事

フォロー中のブログ

外部リンク

以前の記事

タグ

その他のジャンル

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧